Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
「ああ、暑、暑! どうだった、譲治さん、あたしの踊るのを見ていた?」
踊りが済むと彼女はテーブルへ戻って来て、急いでフルーツ・カクテルのコップを前へ引き寄せました。
「ああ、見ていたよ、あれならどうして、とても始めてとは思えないよ」
「そう! じゃ今度、ワン・ステップの時に譲治さんと踊って上げるわ、ね、いいでしょう?………ワン・ステップなら易しいから」
「あの連中はどうしたんだい、浜田君と熊谷君は?」
「え、今来るわよ、綺羅子と猿を引っ張って。―――フルーツ・カクテルをもう二つ云ったらいいわ」
「そう云えば何だね、今ピンク色は西洋人と踊っていたようだね」
「ええ、そうなのよ、それが滑稽じゃあないの、―――」
と、ナオミはコップの底を視つめ、ゴクゴクと喉を鳴らして、渇いた口を湿おしながら、
「あの西洋人は友達でも何でもないのよ、それがいきなり猿の所へやって来て、踊って下さいッて云ったんだって。つまり此方を馬鹿にしているのよ、紹介もなしにそんな事を云うなんて、きっと淫売か何かと間違えたのよ」
「じゃ、断ればよかったじゃないか」
「だからさ、それが滑稽じゃないの。あの猿が又、相手が西洋人だもんだから、断り切れないで踊ったところが! ほんとうにいい馬鹿だわ、耻ッ晒しな!」