Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
「浜さん、あんたも此方をお向きよ、でなけりゃ迫害してやるわよ」
浜田はつづいて寝返りを打って、腹這いになったようでした。
同時に熊谷がガチャガチャと袂の中からマッチを捜り出す音がしました。そしてマッチを擦ったので、ぼうッと私の眼瞼の上に明りが来ました。
「譲治さん、あなたも此方を向いたらどう? 独りで何をしているのよ」
「う、うん、………」
「どうしたの、眠いの?」
「う、うん………少しとろとろしかけたところだ、………」
「うふふふふ、巧く云ってらア、わざと寝たふりをしてるんじゃないの、ねえ、そうじゃない? 気が揉めやしない?」
私は図星を指されたので、眼をつぶってはいましたけれど、顔が真っ赤になったような気がしました。
「あたし大丈夫よ、ただこうやって騒いでるだけよ、だから安心して寝てもいいわ。………それともほんとに気が揉めるなら、ちょっと此方を見てみない? 何も痩せ我慢しないだって、―――」
「やっぱり迫害されたいんじゃないかね」
そう云ったのは熊谷で、煙草に火をつけて、すぱッと口を鳴らしながら吸い出しました。
「いやよ! こんな人を迫害したって仕様がないわよ、毎日してやっているんだもの」