Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

十六

見ると彼女は、マントの下に一糸をも纏っていませんでした。

「何だお前は! 己に耻を掻かせたな! ばいた! 淫売! じごく!」

「おほほほほ」

その笑い声には、酒の匂がぷんぷんしました。私は今まで、彼女が酒を飲んだところを一度も見たことはなかったのです。

十六

ナオミが私を欺いていたからくりの一端は、その晩とその明くる日と二日がかりで、やっと強情な彼女の口から聞き出すことが出来ました。

私が推察した通り、彼女が鎌倉へ来たがったのは、矢張熊谷と遊びたかったからなのだそうです。扇ヶ谷に関の親類が居ると云うのは真っ赤な嘘で、長谷の大久保の別荘こそ、熊谷の叔父の家だったのです。いや、そればかりか、私が現に借りているこの離れ座敷も、実は熊谷の世話なのでした。この植木屋は大久保の邸のお出入りなので、熊谷の方から談じ込んで、どう話をつけたものか、前に居た人に立ち退いて貰い、そこへ私たちを入れるようにしたのでした。云うまでもなく、それはナオミと熊谷との相談の上でやったことで、杉崎女史の周旋だとか、東洋石油の重役云々は、全くナオミの出鱈目に過ぎなかったのです。さてこそ彼女は、自分でどんどん事を運んだ訳でした。