Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

二十四

当分の間、このホトボリが冷めるまでは彼奴の顔を見たくないから」

私は浜田に京浜電車を附き合って貰って、大森で彼と別れました。

二十四

私がこう云う孤独と共に失恋に苦しめられている際に、又もう一つ悲しい事件が起りました。と云うのは外でもなく、郷里の母が脳溢血で突然逝ってしまったことです。危篤だと云う電報が来たのは、浜田に会った翌々日の朝のことで、私はそれを会社で受け取ると、すぐその足で上野へ駈けつけ、日の暮れ方に田舎の家へ着きましたが、もうその時は、母は意識を失っていて、私を見ても分らないらしく、それから二三時間の後に息を引き取ってしまいました。

幼い折に父を失い、母の手一つで育った私は、「親を失う悲しみ」と云うものを始めて経験した訳です。況んや母と私の仲は世間普通の親子以上であったのですから。私は過去を回想しても、自分が母に反抗したことや、母が私を叱ったことや、そう云う記憶を何一つとして持っていません。それは私が彼女を尊敬していたせいもあるでしょうが、寧ろそれより、母が非常に思いやりがあり、慈愛に富んでいたからです。よく世間では、息子がだんだん大きくなり、郷里を捨てて都会へ出るようになってしまうと、親は何かと心配したり、その子の素行を疑ったり、或はそれが原因で疎遠になったりするものですが、私の母は、私が東京へ行っ