Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

そう云って彼女は、着物で体を囲いながらピンと立って見て、

「ほら、ちゃんと着くわよ」

その時私の頭の中には、何かの写真で覚えのあるロダンの彫刻が浮かびました。

「譲治さん、あなたあたしの体が見たいの?」

「見たければ見せてくれるのかい?」

「そんな訳には行かないわよ、あなたとあたしは友達じゃないの。―――さ、着換えてしまうまでちょいと彼方へ行ってらっしゃい」

そして彼女は、私の背中へ叩きつけるようにぴしゃんとドーアを締めました。

こんな調子で、ナオミはいつも私の情慾を募らせるようにばかり仕向ける、そして際どい所までおびき寄せて置きながら、それから先へは厳重な関を設けて、一歩も這入らせないのです。私とナオミとの間にはガラスの壁が立っていて、どんなに接近したように見えても、実は到底踰えることの出来ない隔たりがある。ウッカリ手出しをしようものなら必ずその壁に突き当って、いくら懊れても彼女の肌には触れる訳に行かないのです。時にはナオミはヒョイとその壁を除けそうにするので、「おや、いいのかな」と思ったりしますが、近寄って行けば矢張元通り締まってしまいます。

「譲治さん、あなた好い児ね、一つ接吻して上げるわ」