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Japanische Klassiker mit Furigana

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らい

癩

島木 健作

Lesen Sie 癩 (らい) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.753 Zeichen · 74 Bildschirme

Aozora Bunko

毎年のことながらそれは同じ一と棟に朝晩寝起きをともにする患者たちの心を暗くさせた。――五年の刑を四年までここでばかりつとめあげて来た朝鮮人の金が、ある雨あがりのかッと照りつけるような真ッぴるまに突然発狂した。頭をいきなりガラス窓にぶっつけて血だらけになり、何かわけのわからぬことを金切り声にわめきながら荒れまわった。細引きが肉に食い入るほどに手首をしばり上げられ、ずたずたに引き裂かれた囚衣から露出した両肩は骨ばっていたいたしく、どこかへ引きずられて行ったが、その夜から、この隔離病舎にほど近い狂人監房からは、咽喉の裂けるかと思われるまで絞りあげる男の叫び声が聞えはじめたのである。それは金の声であった。哀号、哀号、と叫び立てる声がやがて、うおーッうおーッというような声に変って行く。それは何かけだものの遠吠えにも似たものであった。――そういう夜、五位鷺がよく静かに鳴きながら空を渡った。月のいい晩には窓からその影が見えさえした。

梅雨に入ってからの太田はずっと床につきっきりであった。梅雨が上って烈しい夏が来てからは、高熱が長くつづいて、結核菌が血潮のなかに流れ込む音さえ聞えるような気がした。