Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいかべ
白い壁
本庄 陸男
Lesen Sie 白い壁 (しろいかべ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.697 Zeichen · 51 Bildschirme
杉本は窓の外に身体を外らして雲のすっとんでいる怪しいこの空模様が川上忠一にこんな話題を憶い起さしたのか、それとも年に一度の身体検査にひねくりまわされた彼らの皮膚の、いやな感覚がそうさせたものかと思い、話手の顔を見なおした。白眼を剥いて天井の一角を睨まえている川上忠一の尖った顔には深い隈が刻まれていた。しばらくそうやっていて、そして彼はやっと、これから喋ろうとする状景を再現した。彼は歯ぐきをむきだしてにたりと笑った。
「あのね、そん時あたいのもとのあげ羽丸も焼けちゃった。あたいは死にもの狂いで河にとびこんだ。深川は危ぶねえってんで、ほら知ってんだろう? 東清倉庫に避難したんだよ。あそこは石だから燃えねえや。そいでもっていっぱい人が逃げてきてよ、あたいはそん時おっ母がいたんだぞ。お前東清倉庫は八幡様の縁日よか人がうじゃうじゃしたんだよ」川上はふいと口を噤みまた天井を睨んで次の記憶を思い描きだした。聞いている子供たちは下手な話手の言葉から、もはや遺伝になっているその凄惨な状景を描き、脅えることに満足していた。「日本刀を持ったおっかねえ人がお前え、…………………だなって、こうだ」