Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいあさ
白い朝
豊島 与志雄
Lesen Sie 白い朝 (しろいあさ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.920 Zeichen · 35 Bildschirme
それから、自動車をつかまえて、北の方向へ五十銭だけ走れって、そう云うんです。金はまだ持ってるのに、どういうつもりなんでしょう。自動車は走り出しました。そして小川町から聖橋へぬけようとする途中で、芝田さんは急に車をとめさして、降りてしまいました。ニコライ堂の下のところで、広い淋しい薄暗い街路です。石垣や大きな建物や、空地の板囲いなどばかりです。芝田さんはなにか瞑想にでも耽ってるように、うなだれてゆっくり歩いてゆきます。そして聖橋に出ると、いきなり丘の上に出たような、立体的な景色になります。空に聳えた感じのする橋で、下の方に電車が走っており、更に下の方に、掘割のどす黒い水が淀んでいて、夜分のこと故、その水に灯が映って夢のようです。芝田さんは橋の濡れてる欄干によりかかって、じっと景色を眺めています。いつまでもじっとしています。
「ばかばかしいから、僕は先に帰ってきたが、芝田さんは、たぶん、また自動車をひろって戻ってきたんだろう。」とチビは云います。
正夫は黙っていました。
「ばかげてるだろう。」
「何が?」
「芝田さんのことさ。」
正夫は黙っていました。
「こうなると、もう僕には分らない。