Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しろいみち

白い道

徳永 直

Lesen Sie 白い道 (しろいみち) von 徳永 直 (とくながすなお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.169 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

たちまちせきをきったように、人々が流れだしてくると、三吉はいそいで坂の中途から小径をのぼって、城内の練兵場の一部になった小公園へきた。それが深水と打ちあわせてある場所で、古びた藤棚の下に石の丸卓があって、雨ざらしのベンチがあった。さて――、一ばんさいしょに何といえばいいだろう。ベンチに坐ったりたったりしながら、三吉はあわてていた。それはゆうべから考えていることだが、まだわからなかった。たぶん彼女は黙っているにちがいない。せいぜい弁当箱に顔をおしつけて笑うくらいだろう。何とかいわねばならないが。――もちろんいうことは沢山あった。自分が竹びしゃく作りであること、熊本ではもう雇ってくれてがないこと、それから自分の理想、ヨゼフ・ディーツゲンのこと……。しかし一ばん最初には何というか? それがいくら考えてもわからなかった。

「やぁ――」

桜並木になっている坂の小径を、深水が気どったすまし方でのぼってきた。その背中にかくれるようにして彼女がついてきた。深水も工場がえりで弁当箱をもっているが、絽羽織などひっかけている。彼女は――頭髪に白いバラのかんざしをさして、赤い弁当風呂敷を胸におしつけている――それきりしか三吉には見定められなかった。