Japanische Klassiker mit Furigana
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はくもくれん
白木蓮
豊島 与志雄
Lesen Sie 白木蓮 (はくもくれん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.039 Zeichen · 24 Bildschirme
ウイスキーやビールはまあ普通の品だが、日本酒はひどく水っぽい。よほど酔ってでもいなければ、まともには飲めない。
「お上さん、こいつは、ちっとひどいよ。」
「そうですか、どれ……。」
しゃがれた太い声で、お上さんは手を差出して、客の杯を受けぐっと一息に味わう。
「なるほど、これは少しひどいようですね。」
それきりで、澄ましこんでるので、話にもならない。――もっとも、酒の品質の責任は、お上さんにはなく、舞台裏にぶらついている調理人にあったのだ。
だが、勘定の方は主としてお上さんがきめた。勝手にきめた。同じ飲食品でも、時によって高低がある。また、例えば三杯飲むと、一杯分の四五倍もの勘定になることがある。つまり、お上さんの計算では、税金の加算がでたらめなのだ。
そういうカツミで、喜美子はいつも、ほのかな笑みを眼元に漂わせ、可愛いい糸切歯をちらちら見せながら、安らかに振舞っていた。客から言葉をかけられると、短い受け答えをするが、自分から話しかけることはない。室の隅には大きな蓄音機があるが、それは殆んど使われなかった。――私は彼女と二人きりになるのが好きで、彼女の顔を見ながら、別に話をするでもなく、静かに杯をなめるのだが、そういう時、なんだか彼女の薄命とか不仕合せとかいう感情が胸に来て、しんみりとした切なさを覚えるのである