Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しらぎく
白菊
夢野 久作
Lesen Sie 白菊 (しらぎく) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.486 Zeichen · 25 Bildschirme
その中央の特別に大きな、高い窓に近く、こればかりは本式らしい金モールと緋房を飾った紫緞子の寝台が置いてあって、女王様のお寝間じみた黄絹の帷帳が、やはり金モールと緋房ずくめの四角い天蓋から、滝の水のように流れ落ちている。その蔭に仄見えている白絹らしい掛布団から、半分ほど握り締めた左手の手首が覗いている。……それが、どうやら七八ツばかりの、生きた女の児の手首に見えるのであった。
その無心な可愛らしい手首を見ているうちに虎蔵はやっと吾に帰った。同時に、生汗に冷え切った全身がゾクゾクとして来た。……この部屋の全体が含んでいる不可思議な意味と、この部屋の主人公の正体が、同時にわかって来たような気がしたので……。
虎蔵は自分でも気付かないうちに身を屈めていた。床の上の華麗な露西亜絨氈の上に腹匍いになって、ソロソロとその寝台の脚下に忍び寄って行った。何故ともわからない焦燥を感じながら……。
……それはこの部屋の女主人公と思われる緞子の寝台の主が、果して自分の推量通りに生きた女の児に相違ないか……それとも、やはり、ほかの人形と同様の飾り物に過ぎないかどうかを、是非とも一度たしかめてみたい……というような彼一流の無智な、盲目的な好奇心に、彼自身が囚われていたせいかも知れない。