Japanische Klassiker mit Furigana
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しらぎく
白菊
夢野 久作
Lesen Sie 白菊 (しらぎく) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.486 Zeichen · 25 Bildschirme
……人形じゃねえぞ……これは……。
彼は息を殺して固くなった。
彼は脚下の熊とおなじように、両眼をマン丸く見開きながら、なおも一心に寝台の中を覗き込んだ。今にも眼の前の少女が大きな寝息をしそうに思われたので……そうしてパッチリと青い眼を見開いて、彼を見上げそうな気がしたので……。
部屋の中の何もかもが、彼の耳の中でシンカンと静まり返った。
少女の寝息とも……牛乳の香気とも……萎れた花の吐息ともつかぬ、なつかしい、甘ったるい匂いが、又もホノボノと黄絹の帷帳の中から迷い出して来た。
……突然……彼はブルブルと身震いをした。
この一箇月の間じゅう、彼の全身に渦巻き、みちみちて来たアラユル戦慄的なものが、その甘ったるい芳香の中で、一斉に喚び醒まされたのであった。その中からモウ一つ更に、極度の惨烈さにまで尖鋭化され、変態化され、猟奇化されて来た或るものが、トテモ抵抗出来そうにない、最後的の威力をもってモリモリと爆発しかけて来たのであった。
……コンナ機会は二度とねえんだぞ……しかも相手は毛唐の娘じゃないか……構う事はねえ……やっつけろ……やっつけろ……。