Japanische Klassiker mit Furigana
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しらぎく
白菊
夢野 久作
Lesen Sie 白菊 (しらぎく) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.486 Zeichen · 25 Bildschirme
彼の眼の前には、白っぽい石の外廊下の支柱が並んでいて、その行き止まりが、やはり白い石の外階段になっている。その中央に続きに敷かれた棕梠のマットの上を、猫のように緊張しながら匐い登って行くと、すぐに一つの頑丈な扉に行き当った。
その扉を見上げ、見下しているうちに虎蔵は又も、ドキンドキンとさせられた。
それは虎蔵が今日まで幾度となく、あこがれ望んでいながら、一度も行当った記憶のない種類の扉であった。その内側に巨万の富を蔵い込んでいるらしい……黒い……重たい……マン丸く光る黄金色の鋲を縦横に打ち並べた……ただその扉が普通と違うところは、その把手が少し低目に取付けてある事と、鍵穴らしいものがどこにも見当らない事であった。
……ハテナ……内側から堅固な閂が突支ってあるのかな……。
そう気が付くと同時に虎蔵は、全身がシインとなるほど失望した。この扉を破るのは容易でない……と考えたからであった。そうしてここまで、無意味に釣り寄せられて来た自分の冒険慾を、心の片隅で後悔し初めた。
……この扉に触ると、直ぐに電気仕掛か何かで、ほかへ知らせるようになっているに違いない……。