Japanische Klassiker mit Furigana
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しろへびのし
白蛇の死
海野 十三
Lesen Sie 白蛇の死 (しろへびのし) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.881 Zeichen · 24 Bildschirme
宿直室の外は火事場の様な人通りであった。
「まあ、いやだ。そりゃいい女だって言うけど、腕も脚も無いんですってさ」
「あら、何うしましょう。私見るのが怖くなっちゃったわ」
その声に土岐はがばと跳ね起きた。そして手早く洋服を着てしまうと裏口から飛び出して、群衆と一緒になって駈け出したのである。
平常はがらっとしているあの空地が、今朝はもう身動きも出来ない程の人だかりだった。土岐はまざまざと昨夜の屍体と向き合う事を恐れながら、それでも人を掻き分ける様にしてどんどん前へ出て行った。そして人々の隙から一目お由の屍体を見るなり、余りの事に彼は危く声を立てる処であった。
思い掛けなくも両腕、両脚を無惨にすぱりと切り取られたお由の屍体は、全く裸体にされて半分小川の中へ浸されているのだ。その白蛇の様な肌は朝日に蒼白く不気味な光を帯び、切口は無花果の実を割った時の如く毒々しい紅黒色を呈していた。
(こんな筈は無い)土岐は余りの事に思わず顔を背けたが、不図、今頃は多分三十里も東京から離れてしまったあの気の弱い国太郎が、若しこれを見たら何んな事になったろうと思った。と同時に、彼は自分が昨夜犯した屍体遺棄罪から、完全に救われた様な気軽さも覚えて、もう二度とお由の不気味な屍体を見る気はなく、其の儘踵を返したのであった。