Japanische Klassiker mit Furigana
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しろがねのえず
白金之絵図
泉 鏡花
Lesen Sie 白金之絵図 (しろがねのえず) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.356 Zeichen · 47 Bildschirme
一
片側は空も曇って、今にも一村雨来そうに見える、日中も薄暗い森続きに、畝り畝り遥々と黒い柵を繞らした火薬庫の裏通、寂しい処をとぼとぼと一人通る。
「はあ、これなればこそ可けれ、聞くも可恐しげな煙硝庫が、カラカラとして燥いで、日が当っては大事じゃ。」
と世に疎そうな独言。
大分日焼けのした顔色で、帽子を被らず、手拭を畳んで頭に載せ、半開きの白扇を額に翳した……一方雑樹交りに干潟のような広々とした畑がある。瓜は作らぬが近まわりに番小屋も見えず、稲が無ければ山田守る僧都もおわさぬ。
雲から投出したような遣放しの空地に、西へ廻った日の赤々と射す中に、大根の葉のかなたこなたに青々と伸びたを視めて、
「さて世はめでたい、豊年の秋じゃ、つまみ菜もこれ太根になったよ。」
と、一つ腰を伸して、杖がわりの繻子張の蝙蝠傘の柄に、何の禁厭やら烏瓜の真赤な実、藍、萌黄とも五つばかり、蔓ながらぶらりと提げて、コツンと支いて、面長で、人柄な、頤の細いのが、鼻の下をなお伸して、もう一息、兀の頂辺へ扇子を翳して、
「いや、見失ってはならぬぞ、あの、緑青色した鳶が目当じゃ。