Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆり

百合

芥川 竜之介

Lesen Sie 百合 (ゆり) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.400 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

やっと安心した良平は金三の顔色を窺いながら、そっと左の芽にさわって見た。赤い芽は良平の指のさきに、妙にしっかりした触覚を与えた。彼はその触覚の中に何とも云われない嬉しさを感じた。

「おおなあ!」

良平は独り微笑していた。すると金三はしばらくの後、突然またこんな事を云い始めた。

「こんなに好いちんぼ芽じゃ球根はうんと大きかろうねえ。――え、良ちゃん掘って見ようか?」

彼はもうそう云った時には、畦の土に指を突こんでいた。良平のびっくりした事はさっきより烈しいくらいだった。彼は百合の芽も忘れたように、いきなりその手を抑えつけた。

「よしなさいよう。よしなさいってば。――」

それから良平は小声になった。

「見つかると、お前さん、叱られるよ。」

畑の中に生えている百合は野原や山にあるやつと違う。この畑の持ち主以外に誰も取る事は許されていない。――それは金三にもわかっていた。彼はちょいと未練そうに、まわりの土へ輪を描いた後、素直に良平の云う事を聞いた。

晴れた空のどこかには雲雀の声が続いていた。二人の子供はその声の下に二本芽の百合を愛しながら、大真面目にこう云う約束を結んだ。