Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ひゃくせん

百銭

宮本 百合子

Lesen Sie 百銭 (ひゃくせん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.892 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

いつも急に思い立って来るらしかった。大抵早朝上野についた。そこから札を買って乗る人力車で家まで来る。その知らせで母が驚いて起きて来、祖母に挨拶がすむと、

「一寸電報でも前もって下さればようございましたのに、いつも不意でお迎えも出ません」

とやや気むずかしげにいう。祖母は、やっと火が入ったばかりの火鉢の前へコートを着たまま坐ってい、煙草を吸いつけながら、

「おれも来る気なんぞ昨日までなかったが、急に考えるとはあ眠られないようになって出て来たごんだ」

と、内心の訴えを間接に表わす。どちらも、笑顔で最初の一言をきき合うというようなことはなかった。その点祖母も母も不幸な廻り合わせで一生過してしまったわけだが、その祖母が秘蔵なのは私であった。少し大きくなってから、夏休みなど飯坂や五色温泉に連れて行ってくれた。これはその前のこと、そうやって祖母が出て来ると、お土産にきっとお金をくれた。一円くれるのであった。

「おら田舎婆さまで今時の子供は何が好きか分らないごんだ。お前好きなものこれで買え」

その一円は五十銭の銀貨二枚か札かであった。母は子供が金を持つことは悦ばない。