Japanische Klassiker mit Furigana
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すかいさんきこう
皇海山紀行
木暮 理太郎
Lesen Sie 皇海山紀行 (すかいさんきこう) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.720 Zeichen · 24 Bildschirme
とうとう長い夜も明けた。見ると妙な場所に陣取っていたものだ。今一間も下ると二人楽に寝られるいい平があったのに。足もとの明るくなると同時に歩き出したが、気候も温く下着も充分に着てはいたものの、十一月の雨中に一夜を立ちつくしたのであるから、体がぎこちなく手足が敏活に動かぬ。尾根は登りとなって深い笹が足にからまり、横から突風に襲われると、二人ともややもすれば吹き倒されそうで容易に足が進まない。それで風下の右手の谷へ下りて、昨夜火光の見えた方向へ辿り行くことにし、そろそろ斜面を下った。午前八時である。間もなく小さい沢に出てそれを下ると、鞍部から四十分を費して本流との合流点に達した。本流の傾斜はかなり急で、時折瀑布に近い急湍をなして、険悪の相を呈することもあったが、瀑と称すべきものはなかった。ただ砂防工事を施した場所が二ヶ所あってこれが滝をなしている。それを下るのが困難であった。ことに下の方のものは手間が取れた。幾回となく徒渉したが、水は不思議にも冷くない。後で聞くとこれは赤岩沢というのだそうで、その名のごとく赭色の崩岩が河原にごろごろしていた。二時間近く下ると左岸の山腹に道らしきものが見え、暫くして河を横断して筧の懸るのをみた。