Japanische Klassiker mit Furigana
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もうもくものがたり
盲目物語
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 盲目物語 (もうもくものがたり) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.341 Zeichen · 148 Bildschirme
のは此のお方でござりますが、まだそのころは、そういう横紙やぶりの御きしょうともみえませなんだ。おとしから云えばわんぱくざかりの時分でござりましたけれども、貴人のおうまれでありながら幼いときよりひかげものゝようにおそだちなされ、どこかにこゝろぼそそうなあわれな御様子がおありになって、御前へ出られてもおくちかずがすくなく神妙にしていらっしゃいましたので、わたくしなどには、いらっしゃるのかいらっしゃらないのか分らないくらいでござりました。もっとも此のお児のおふくろさまは長政公のいもうと御でござりましたから、ひめぎみたちとはいとこ同士、おくがたは義理の伯母御におなりなされます。それで万ぷく丸どのゝことをしのばれるにつけても此のお児をいとしがられまして、「わたしが母御のかわりになって上げますよ、用のないときはいつでもこゝへあそびにおいで」と仰っしゃって、なさけをかけてお上げなされ、「あの児はだまっているけれども腹にしっかりしたところがある、きっと利発ものにちがいない」とおほめになっていらっしゃいました。さようでござります、おはつ御料人と御えんぐみをなされました