Japanische Klassiker mit Furigana
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まゆかくしのれい
眉かくしの霊
泉 鏡花
Lesen Sie 眉かくしの霊 (まゆかくしのれい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.284 Zeichen · 51 Bildschirme
喜多八、はたごが安いも凄まじい。二はいばかり食っていられるものか。弥次郎……馬鹿なつらな、銭は出すから飯をくんねえ。……無慙や、なけなしの懐中を、けっく蕎麦だけ余計につかわされて悄気返る。その夜、故郷の江戸お箪笥町引出し横町、取手屋の鐶兵衛とて、工面のいい馴染に逢って、ふもとの山寺に詣でて鹿の鳴き声を聞いた処……
……と思うと、ふとここで泊まりたくなった。停車場を、もう汽車が出ようとする間際だったと言うのである。
この、筆者の友、境賛吉は、実は蔦かずら木曾の桟橋、寝覚の床などを見物のつもりで、上松までの切符を持っていた。霜月の半ばであった。
「……しかも、その(蕎麦二膳)には不思議な縁がありましたよ……」
と、境が話した。
昨夜は松本で一泊した。御存じの通り、この線の汽車は塩尻から分岐点で、東京から上松へ行くものが松本で泊まったのは妙である。もっとも、松本へ用があって立ち寄ったのだと言えば、それまででざっと済む。が、それだと、しめくくりが緩んでちと辻褄が合わない。何も穿鑿をするのではないけれど、実は日数の少ないのに、汽車の遊びを貪った旅行で、行途は上野から高崎、妙義山を見つつ、横川、熊の平、浅間を眺め、軽井沢、追分をすぎ、篠の井線に乗り替えて、姨捨田毎を窓から覗いて、泊りはそこで松本が予定であった。