Japanische Klassiker mit Furigana
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めをひらく
眼を開く
夢野 久作
Lesen Sie 眼を開く (めをひらく) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.759 Zeichen · 20 Bildschirme
多分それは自分の生活を擁護するための熱意で、局長の御機嫌を取り、村人の信用を博するために骨を折っている一種の哀れむべき自家広告術ぐらいのものであろう。さもなければ愚鈍な、単純な人間によく見受ける一種の職業偏執狂で、この配達手君の場合では一種の配達偏執狂ともいうべきものではないか! ぐらいにしか考えていなかった。
しかし、こうした私の利己的な、唯物弁証的な考え方は、間もなく打っ突かった一つの大きな奇蹟のために、あとかたもなく打ち壊されて、それこそ立っても居ても居られぬくらい狼狽させられなければならなくなった。
旧正月の四五日前の或る大雪の朝であったと思う。
例によって例の配達手君が置いて行った一塊の小包を開いて見ると、厳重に包装した木箱の中から、鋸屑に埋めた小さな二つの硝子瓶が出て来た。その一つには石炭酸と貼紙がしてあり、今一個の瓶は点眼用となっていて、何の貼紙もしてない。そのほかに安っぽい筒に入れた黒色のセルロイド眼鏡が一個出て来た。
私は思い出した。それはツイ二週間ほど前のことであった。いつもより、すこし遅目に這入って来た郵便配達手君を、何気なく振返って目礼を交した時に、その瞼がヒドク爛れて、左右の白眼が真赤に充血しているのを発見したので、私はハッとして思わず口を利いたのであった。