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Japanische Klassiker mit Furigana

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やのしのとい

矢押の樋

山本 周五郎

Lesen Sie 矢押の樋 (やのしのとい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.468 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

加世は肩を震わせながらうち伏した。……智しくも二世を約する言葉だと分ったのだ。

――本望だ、あの方は加世の心を知っていて下すったのだ、女と生れた甲斐があった。

去って行く梶之助の跫音を聞きながら、娘は激しく噎びあげていた。

鍬が閃めき、杉丸太が飛んだ。

転げ落ちる石、崩れる土砂、闇を暈かして濛々と立昇る土埃、二十余人の半裸の人々は、夜半の城壁に向って、いま必死の戦を挑んでいる、指揮する梶之助も、二十余人の家士たちも、頭から土埃を浴び、淋漓たる汗に浸っていた。……家士たちは梶之助のために死を賭した。数は僅か二十余人であるが、その死を賭した力は圧倒的にものを云った。夜半十二時に第一鍬を下ろしてから一刻あまり、内濠の北側に沿った石垣は、既に六尺ほどの幅で、上から下へ大きく切崩されている。

「もうひと息だ、これだけ切ればあとは水の勢いで崩れる、みんな頑張ってくれ」

梶之助はひそめた声に力を籠めて云った。するとその時、二の曲輪の方から、提灯の火と人影がふらふらと此方へ馳けつけて来た。……塩田外記であった。

「梶之助、梶之助はおらぬか」

「此処におります」

嗄れた声で叫ぶ外記の前へ、梶之助が大股に進み出た。