Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちぶきこう
知々夫紀行
幸田 露伴
Lesen Sie 知々夫紀行 (ちちぶきこう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.784 Zeichen · 31 Bildschirme
我らのほかにも旅人三人ばかり憩い居けるが、口々にあらずもがなのおそろしき雨かなとつぶやき、この家の主が妻は雷をおそれて病める人のようにうちふしなやむ。
されどとかくする中、さしもの雷雨もいささか勢弱りければ、夜に入らぬ中にとてまた車を駛せ、秩父橋といえるをわたる。例の荒川にわたしたるなれば、その大なるはいうまでもなく、いといかめしき鉄の橋にて、打見たるところ東京なる吾妻橋によく似かよいたる節あり。同じ人の作りたるなりというも、まことにさもあるべしとうけがわる。ほどなく大宮につきて、関根屋というに宿かれば、雨もまたようやく止みて、雲のたえだえに夕の山々黒々と眼近くあらわれたり。ここは秩父第一の町なれば、家数も少からず軒なみもあしからねど、夏ながら夜の賑わしからで、燈の光の多く見えず、物売る店々も門の戸を早く鎖したるが多きなど、一つは強き雨の後なればにもあるべけれど、さすがに田舎びたりというべし。この日さのみ歩みしというにはあらねど、暑かりしこととていたく疲れたるに、腹さえいささか痛む心地すれば、酒も得飲まで睡りにつく。
八日、朝餉を終えて立出で、まず妙見尊の宮に詣ず。