Japanische Klassiker mit Furigana
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いしころみち
石ころ路
田畑 修一郎
Lesen Sie 石ころ路 (いしころみち) von 田畑 修一郎 (たばたしゅういちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.254 Zeichen · 39 Bildschirme
――僕はこういう種類のことを次々と胸の中で呟やく。
だが、もう永くは本気でいない。僕はどの嘘も見抜いているのだ。僕の今信じているのはこの気倦るい空気だけだ。
僕のいる家は六人家族だった。主人は阿古村の村長をしていて、ここが役場に遠いところから部落の方に住んでいる。その奥さんは四十あまりの、色の浅黒い眼の大きい、その眼は島の人に独特な倦る気で、どこか野生的な感じで、正代という身よりのない娘を相手にバタをつくることから一家の仕事をやっている。他に東京の女学校を出た養子の娘さんがいた。奥さんの姪にあたるので、部落の方にその実家があり、しょっちゅうそっちへ行っていた。坪田村という所のお医者さんで色の白い、素白のときはよく口ごもっておとなしいが、酒飲みで、そうなるとまるで様子の変る人が時々やってきた。噂では大変な遊蕩児だという。この医者と養子娘との間は公然の秘密になっていた。お医者さんは鉄砲が好きで、時々パンパンという音が遠くに聞え、それがだんだん近くなると、やがて向うの榛の木の林から猟犬の駈け下りてくるのが見え、すぐ後からお医者が自転車にのってやってくる。