Japanische Klassiker mit Furigana
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いしころみち
石ころ路
田畑 修一郎
Lesen Sie 石ころ路 (いしころみち) von 田畑 修一郎 (たばたしゅういちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.254 Zeichen · 39 Bildschirme
それがあのただ眼を細くするだけなのだ。ときどき向うから話しかけるが、まるで単語をならべるような話しぶりだ。
「これ、マグサだ。牛は好きだ」
「どこ行く? ウン海か」
そんなことを言って、例の微笑をやる。島の女の人の風習らしいが、正代も風呂敷や何かの布れでいつもすっぽりと頭を包む。まるでロシアの農婦の被るプラトオクのようだ。
その格好でどんな土砂降りの雨の中でも平気だ。時には頭から肩からぐしょ濡れになって、日照りの下を歩くと同じに仕事している。奥さんに訊くと、雨どころか、冬でも蒲団なんかきて寝ることはないという。いつも縁側にごろ寝する。彼女は白痴でこそなかったが、母親は白痴で、彼女はその私生児なのだった。正代は自分の出生を知って、その母親をとても嫌やがるという。白痴の母親はもとここの家にいたことがあるので、今も時々やってくる。その母親というのは僕のいる間にも一度やってきたが、正代の母親と思えないくらいに若くて、やはり私生児の赤ん坊を背中にくくりつけていた。家は阿古村の部落にあるのだが、ちっともそこへ帰えらない、どこにでも地面や石垣の隅なんかで寝るんだという。