Japanische Klassiker mit Furigana
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いしころみち
石ころ路
田畑 修一郎
Lesen Sie 石ころ路 (いしころみち) von 田畑 修一郎 (たばたしゅういちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.254 Zeichen · 39 Bildschirme
僕のいる間にも、芭蕉イカの大きいのが獲れたので、民さんはそれを持って部落のこの家の親戚まで夜に入ってから使いに出かけたが、翌日の午後になって手ぶらで帰ってきた。途中でやはり牧夫仲間の太郎というのに会い、そのままひっかかって、とうとう土産物のイカを洗いもせずに裂いて肴にして喰った上、方々の農家をたたき起して酒をねだり、山で寝てかえったのだ。翌日一日じゅう腹が痛いと言って寝ていた。
「暗らやみで生イカを食ったもんだから、口のまわりをイカの墨で真黒にしたちゅう、なあ民さん。腹痛たはバチがあたったんだろ」
と、奥さんにからかわれて、民さんは悄気かえっていた。
その民さんがある日ひどく怒っていた。どういうわけか知らない。牛小屋の方で奥さんと何か話していたが、いきなり、
「おれはかえる、ばか野郎。こんなところで誰が働いてやるもんか」
と叫んで、後は「ぶるん、ぶるん」というような音を吐きだしながら、背負枠も牛の綱もそこらに放うりだして、その小柄な肩をすさまじくいからせながら、ちょうど僕は庭先きにいたが、こっちへは眼もくれずに小屋へ入って行った。奥さんは苦が笑いをしていた。