Japanische Klassiker mit Furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lesen Sie 石狩川 (いしかりがわ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 253.535 Zeichen · 506 Bildschirme
を今日の日らしくと仰せられたあなたのお指図によって、拙者は、いや、身どもは――わたくしは、ねずみのような忙しい思いをさせられました、それだのに、あなたはまた、こんなところに隠れていなさる――探しましたよ、ご家老?」
松岡長吉は咽喉をつまらせて笑った。一気に云ってしまって、だから気持も落ちついたのであるが、直ぐには顔があげられなかった。
阿賀妻は鼻のうえに、波紋のような音のない微笑を浮かべていた。彼は掛矢の柄を板囲いに立てかけ、からげた着物の裾をおろした。
「ご苦労をかけましたな」
「そう云われます、と」と松岡は手を揉みながら阿賀妻を先に立てた。
「棟梁は?」
「すっかり晴れ晴れしい顔をいたしまして」
「薄氷をふんで、ついに渡ってしもうた、か――松岡どの?」
阿賀妻はそう云ってふり返った。下小屋を出外れようとするとこで、人々のざわめきは野風のように聞えていた。うしろにいた松岡は唾をのみこんだ。瞼のあたりを赤らめていた。その眼をそっとあげて、言葉の真意を相手の顔に読みとろうとした。そして彼はぶるッと震えた。阿賀妻の肩ごしに女の顔が見えたのだ。手ぬぐいをかぶった丸まげの大きな髷がきらりと光った。