Japanische Klassiker mit Furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lesen Sie 石狩川 (いしかりがわ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 253.535 Zeichen · 506 Bildschirme
彼の歩いた雪ぐつの足跡が野の上にならぶのであった。しかし幾らも進まないうちに、びょう茫とした雪の原野をはしって来た風が、おしこくって持って来た粉雪を間断なくその穴に投げ入れた。すると、まもなくその穴は完全に埋まってしまった。前も後も、右も左も、原始のままの灰色がかったあお白い雪やぶになっていた。そうして、かつて一人も人間を通したことが無いとでも言うようにけろりとしていた。
目じるしを見おとさないことに必死であった。
シップの聚落は、そういう雪のなかに黒い頭を出していた。粗末な草小屋の中で、厳しい冬の間、そうしなければ耐えられぬ凍寒を防ぐため、熾んに燃しつづけた。煙が、棟の雪だけを融け去らしていた。煤ぼけた家の頭が点々としていた。にじみ出した。煙が見え、人間のいることが感じられた。
――たずねる人があろうとは思っていなかった。だが今日もまた、誰かたずねて来る人がありそうな気がしてならぬのも事実であった。山の麓に近よるにつれて、雪の積みあげる量は日に日に殖えた。ある日、朝から降りだした雪が、夜になって、草の壁にさらさらと絶えまなく鳴っていた。それから朝になって、いつまでも薄明が去らぬのであった。