Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのまちとサフランしゅ
砂漠の町とサフラン酒
小川 未明
Lesen Sie 砂漠の町とサフラン酒 (さばくのまちとサフランしゅ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.790 Zeichen · 8 Bildschirme
どれ、ひとつゆっくりと酒を飲んでいこう……。」
彼らは、町にはいると、赤い酒のコップを手にしました。
酒場の前を、美しい女がやさしい、いい声で唄をうたって通りました。ちょうど、その唄の声は、海で潮のわく音のようであり、女たちの姿は、春風に吹かれるこちょうのごとくに、見られたのでした。
一杯、また一杯と、飲んでいるうちに、すっかり頭の中にあった考えというものが、空になってしまいました。そこで、持ってきただけの金を、町の中で使いはたしてしまったのです。
彼らは、酒の酔いがさめきらぬうちに、まったく夢心地でこの町を立って、出かけましたが、いつしか砂漠の中で、酔いがさめて、天幕のすきまから星の光を仰ぐと、はじめて、なにも持たなくては、いまさら故郷へは帰れないと思ったのでありました。
彼らは、ふたたび山へもどりました。そして働きました。また岩を割ったり、土を掘ったりしました。
金がたまると、こんどこそは、故郷へ帰って、みんなの顔をば見ようと思いました。彼らは山を下ったのであります。
赤い町が、すぐ目の前に近づきました。彼らはサフラン酒の味を、思い出さずにはいられませんでした。