Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
「どういう意味でございますかな? 恐ろしい船と申しますのは?」
「船は何んでもないのだよ。恐ろしいのは乗っている方さ」
「いかなるお方でございますかな?」
「秘密を握っている方さ」
「何んの秘密でございましょう?」どうにも柵頼格之進には、妙子の云うことが解らないらしい。
「妾の秘密を握っている方さ! そうして妾の競争相手の、冷泉華子さんの秘密もね」
「そのお方のご身分は?」
「偉い方だよ、力を持った方さ」
「ご姓名は?」
「うるさいねえ!」
「は」と格之進は引っ込んだ。
「こんな場合にあのお方に、出現されてはたまらない! 何も彼もみんな駄目になる」譫言のように呟いたが、「ナーニそうなりゃア怨み恋なしだ! 妾ばかりが困るのではない、華子さんだって困るのだ。諦めなければならないかもしれない」
尚も海上を眺めやった。
だが、海上には何んにもない。風の凪いだ海は、穏かで、事実人魚というようなものが、ほんとに海の中に住んでいるなら、波に浮かび出て美しい声で、歌でもうたいそうにさえ思われる。
クルリと方角を変えた北王子妙子は、駕籠の傍まで引っ返したが、
「案じていたところで仕方がない。