Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
何んのそればかりではない! 頭脳! 頭脳! ね、頭脳、頭脳そのものが眼なんだよ。だからさ、妾にはどんなものでも見える、……だからさ、今度山を下り、江戸へ入り込んだというものさ」老婦人はこんなことを云い出した。
「いよいよ迷惑な婆さんだよ」小法師の鯱丸は毒舌である。「江戸入りしたのはいいけれど、筏船を作って帆を上げて、隅田川を上へ溯って、大きな屋敷の水門から、屋敷へ入り込もうとしたかと思うと、にわかに後へ引っ返し『鯱丸よ、行手変えだ! 芹沢の郷! 芹沢の郷! やれやれやれ、そっちへやれ』などとむやみに急き立てて、こんな方へ走らせて来たんだからなあ。その途方もない沢山の眼で何を見たのか知らないが、梶取りの俺らは疲労れてしまう」どうやら鯱丸は不平らしい。「一体全体何んのために、そんな所へ行くのだろう」
「それはね」と云ったが老婦人の声は、この時いくらか真面目になった。「人を助けに行くのだよ」
「人を助けに? 怪しいものさ」
「綺麗な綺麗な娘をね」
「ふうん、何んだか解るものか」
「そうして叱りに行くのだよ」
「だんだん解らなくなって来た」
「妾の家来でありながら、その妾を裏切って、よくないことをやっている、二人を叱りに行くのだよ。