Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
山尼の居場所が目的地のようだ。
「おや」と集五郎が呟きながら、ちょっと小首を傾げたのは、森の向こう側からシャンシャンという、馬の鈴音が聞こえたからである。「旅人が通っているらしい」何んとなく不安の気のしたのは、所は道のない野原であり、山越しをして行く旅人などが、めったに通らない場所だからであった。
「馬の鈴音が聞こえましたようで」華子に向かって声をかけた。
「ああ妾も聞こえたよ」
「同じ方角へ行きますようで」
「どうやらそんな様子だねえ。だが大概は旅人だろうよ」案外華子には苦にならないらしい。
「しかし今回の私どもの旅行は、絶対の秘密になっております。人に姿を見られましては、あまり感心いたしません」
「云うまでもないよ、その通りだよ」
「で、好んで峠路を避け、道のない野原を辿っております」
「そうした方が安全だからね」
「森の向こう側の旅人に、見られないものでもございません」
「同じ方角へ行くのだから、いずれはどこかで出合うだろうよ」
「その旅人が人里へ下って、我々の様子を吹聴しましたら、いささか困りものにございます」
「と云って旅人を掣肘して、旅をするなとは云えないではないか」