Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
君江の声は顫えている。
「さあそいつは解らないよ」英五郎の声は不安そうである。
「魔所だからなあ、この森は。大勢の人間の叫び声がしたり、突然大岩が転がって来たり、にわかに大水が流れて来たり、幾十人かの片輪者ばかりが、手を繋いで現われたり、そうかと思うと天人のような綺麗な娘が一人きりで、木にもたれてションボリ考えていたり、そうかと思うと神様のような、神々しい老人が虫籠をさげて、木の枝に腰をかけたり、怪しいことばかりがあるのだからなあ……普通の人間の分け入るのを、厭っているのだよ、この森はな。……」
十二
「だから申したのでございます」顫えた声で君江が云う。「小一郎様、一式様、あの森へはおはいりなさいますな。恐ろしい魔所でございます。はいったが最後、お身の上に、きっと危険がございましょう。いけませんいけません。はいっては。……それだのにあの方憑かれたように、スルスルとはいって行かれました。……お父様お父様急ぎましょう! 早く早く目付けましょう! ……どうぞご無事でいられますよう。……妾はこんなに顫えています。……だんだん胸が苦しくなる!」
「そうだそうだ、急がなければならない。