Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
「敏感な麝香虫が騒ぎ出した」スルスルと窓まで走ったが、「困ったことだ! 何か起こる! 俺には解る、大事件が起こる!」
ちょうどこの頃のことである。片手の小男が馬に乗り、関宿とは反対の方角から、大森林を上へ上へと、昆虫館を目差して走っていた。非常に周章てているらしい。非常に恐怖しているらしい。
「さあ大変だ大変だ、早く先生へお告げしなければならない。攻めて来る攻めて来る彼奴らが!」
こんなことを口の中で呟いている。馬術は精妙、木立をくぐり、険路を突破して走って来る。
やがて間もなくこの伝騎は昆虫館へ馳せ付けるだろう、そうしたら何かが語られるだろう。美しい平和な昆虫館に、そのため騒動が起こらなければよいが。
伝騎が着いた。小男が叫んだ。――
「ご用心なさりませ、山尼の徒が、続々入り込んで参りました!」
十九
「昆虫館閉鎖は山尼の徒の為なり」
こう古文書に記されてある。
山尼というのは何んだろう? いわゆる山姥の別名なのだろうか? それはハッキリ解らない。とにかく山間に住んでいる、一種の神秘的の人間らしい。どうしてそういう山尼の徒が、昆虫館を閉ざしたのだろう? それもハッキリ解らない。