Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
普通の蝶のように驚き易く、その上もなく敏感かと思うと、無生物のように鈍感でもある。
「奇怪な存在」と云わざるを得ない。
「だがいったいこの蝶は、雄蝶の方だろうか雌蝶の方だろうか?」これが小一郎には疑問であった。「もしこいつが雄蝶だとすれば、昆虫館から盗まれたものだし、もしもこいつが雌蝶だとすれば、昆虫館主が逃がしたものだ」しかし遺憾ながら小一郎には、雌雄の見分けが付かなかった。「昆虫館主の話によれば、翅に置いてある斑紋が、非常に大切だということだが、どうしてこんな斑紋が、そんなにまでも大切なんだろう?」――小一郎の手に入れた蝶の翅にも、地図のような斑紋が置いてあった。
「盗まれたという雄蝶の翅に、置いてあったという斑紋を、俺は昆虫館館主の部屋で、昆虫館主によって見せられたが、その斑紋と非常に似ている。ではこの蝶は雄蝶だろうか? しかしその時昆虫館主は、もう一匹の雌蝶の翅にも、そっくりの斑紋があると云った。ではこの蝶は雌蝶かも知れない。……俺は実際惜しいことをしたよ、あの時見せられた雄蝶の斑紋を、もっと詳しく見て置けばよかった。不幸にも俺は瞥見しただけだ。