Japanische Klassiker mit Furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme
同行はむしろ便宜であったが。
さて、旧街道を――庫裡を一廻り、寺の前から――路を埋めた浅茅を踏んで、横切って、石段下のたらたら坂を昇りかかった時であった。明神の森とは、山波をつづけて、なだらかに前来た片原の町はずれへ続く、それを斜に見上げる、山の端高き青芒、蕨の広葉の茂った中へ、ちらりと出た……さあ、いくつぐらいだろう、女の子の紅い帯が、ふと紅の袴のように見えたのも稀有であった、が、その下ななめに、草堤を、田螺が二つ並んで、日中の畝うつりをしているような人影を見おろすと、
「おん爺いええ。」
と野へ響く、広く透った声で呼んだ。
貝の尖の白髪の田螺が、
「おお。」
「爺ン爺いよう。」
「……爺ン爺い、とこくわ――おおよ。」
「媼ン媼が、なあえ、すぐに帰って、ござれとよう。」
「酒でも餅でもあんめえが、……やあ。」
「知らねえよう。」
「客人と、やい、明神様詣るだと、言うだあよう。」
「何でも帰れ、とよう。媼ン媼が言うだがええ。」
なぜか、その女の子、その声に、いや、その言托をするものに、銑吉さえ一種の威のあるのを感じた。
「そんでは、旦那。」
白髪の田螺は、麦稈帽の田螺に、ぼつりと分れる。