Japanische Klassiker mit Furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme
……
明神まで引返す、これにも少年が用立った。爺さんにかわって、お誓を背にして走った。
清水につくと、魑魅が枝を下り、茂りの中から顕われたように見えたが、早く尾根づたいして、八十路に近い、脊の低い柔和なお媼さんが、片手に幣結える榊を持ち、杖はついたが、健に来合わせて、
「苦労さしゃったの。もうよし、よし。」
と、お誓のそのふくよかな腹を、袖の下で擦って微笑んだ。そこがちょうど結び目の帯留の金具を射て、弾丸は外れたらしい。小指のさきほどの打身があった。淡いふすぼりが、媼の手が榊を清水にひたして冷すうちに、ブライツッケルの冷罨法にも合えるごとく、やや青く、薄紫にあせるとともに、乳が銀の露に汗ばんで、濡色の睫毛が生きた。
町へ急ぐようにと云って、媼はなおあとへ残るから、
「お前様は?」
お誓が聞くと、
「姫神様がの、お冠の纓が解けた、と御意じゃよ。」
これを聞いて、活ける女神が、なぜみずからのその手にて、などというものは、烏帽子折を思わるるがいい。早い処は、さようなお方は、恋人に羽織をきせられなかろう。袴腰も、御自分で当て、帽子も、御自分で取っておかぶりなさい。