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Japanische Klassiker mit Furigana

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まつりのよる

祭りの夜

豊島 与志雄

Lesen Sie 祭りの夜 (まつりのよる) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.781 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

円鋸や帯鋸が木材を自由にたち切るのを、一時間ばかり眺めた。それから野原の方を歩き廻り、河の土手をぶらついた。――無駄ではなかった。想念は次第にまとまりかけてきた。

葷酒をぶらさげて、山門の前をぶらつくなど、愚劣なことだ。葷酒なんか大地の上にぶちまけてしまえ。山門なんか、寺院のそれでも、女性のそれでも、蹴破ってしまえ。だが、政代のあの純粋親切というものが、どうして、私の心をこんなにしめつけるのであろうか。彼女の眼に宿る陰など、もう問題でないのに、その親切だけが、どうして心をしめつけるのであろうか。強くなれ、強くなれ。彼女も畢竟、私にとって異邦人に過ぎないではないか。

河の土手で凧をあげてる子供たちと、私はしばらく一緒に遊んだ。それから家に帰った。銚子などはもうお盆ごと、持ち去られていた。

私もすぐその足で、田岡政代の家へ行った。台所口から声をかけておいて、庭の縁側の方に廻った。皮肉な態度に出るつもりだ。

「昨日は、たいへん御馳走になって、すみませんでした。ちょっと、お礼に来ただけですから……。」

室におあがりなさいとすすめるお留さんに、私はそう言った。