Japanische Klassiker mit Furigana
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わたくしたちのけんせつ
私たちの建設
宮本 百合子
Lesen Sie 私たちの建設 (わたくしたちのけんせつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.430 Zeichen · 107 Bildschirme
当時近松の題材となったような相対死(心中)が非常に現われた。又、いわゆる不義とされた男女関係の悲劇も多く現われた。近松は、この世の義理に苦しみ、社会の制裁に怯える男女の歎きと愛着とを、七五調の極めて情緒的な、感性的な文章で愬えて、当時のあらゆる人の心を魅した。社会の身分の差別はどうあろうとも、偶然の機会から相寄った一組の男女が、自然のままに自分達の感情を伝え合わずにはいられないということを、一応は肯定するところまで、当時の人間性の本能的な理解が拡がって来ており、しかも、その愛情の貫徹のために、社会の枠を自分達の力で破壊して行く努力、そのような建設的な恋愛というものは、まだ自覚されていなかった。憐れな二人は最後には死ぬことで、この世で実現されなかった互いの結合を全くしようとしているのである。
近松は、文学者として女主人公達と共に、その生き方の限界に自分を止めた。近松には、主人公達の苦悩と死に方とを、もう一歩生きる方へと導いて行くだけの社会的覚醒と自立性とがなかった。このことは近松の生れた元禄の時代が町人の擡頭と武士階級の崩壊時代ではあってもまだ身分の差別はきびしくて、封建の外郭は堅かったことを反映している。