Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わたしたちのしゃかいせいぶつがく

私たちの社会生物学

宮本 百合子

Lesen Sie 私たちの社会生物学 (わたしたちのしゃかいせいぶつがく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.492 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

毎朝きまった時間に目を醒す。同じ部屋で、同じ蒲団のなかで。それから手早く身じまいをして、勤めに出てからはずっと緊張した仕事から仕事への一日が過ぎる。夕方になるときまった時間に、下駄箱のところで上草履を下草履にはきかえて、電車通りへ出て来る。そういう時、ああ、きょうも済んだという安心と一緒に、又あしたも今日とおんなじ日が来るのかという何か物懶い感情が湧くことがある。毎日、毎日。そして一年、二年。働いて行くということは避け難いことであり、その必要も意味もわかっているのに、時折働いている若い女の心を襲う何か空虚に似た感じ、これでいいのかしらと思う心持は、一体どこから来るのか。

若い妻の或る時の感情にも、これに似た陰翳の通りすぎることはあるにちがいないし、一見苦労のない日常生活の事情で、いろんな稽古事をやったり、シネマを見たり、踊ったりしている若い娘さん達の気分の上をも、やはりこういう雲が通りすぎる事があるだろう。

心持の表面を掠めるのではなく、生活感情の断層のようなところから、そういう落着かなさ、内容の不明な不安がきまった箇所にいつも閃いて見えるようになった時、その人たちは、自分の生活がなんだか全部あるべきようには無いのだという自覚を持ちはじめる。