Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのりれきしょ
私の履歴書
井上 貞治郎
Lesen Sie 私の履歴書 (わたしのりれきしょ) von 井上 貞治郎 (いのうえていじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.380 Zeichen · 69 Bildschirme
だとつくづく思うのである。
だが私は過去の追憶にばかりふけっているのではない。会社の部屋に日本地図を広げて、たこの足のように八方へ伸びていく聯合紙器の未来図を描くのに忙しいのだ。私の後進たちが、存分に活躍できる舞台を用意するのがこれからの仕事でもあろう。私は農家の一少年として生まれ、だれに頼ることなく、野中の一本杉として生きてきた。いまは妻と二本杉というところだが、二人は一体なのだからやはり一本杉といわせてもらおう。そしてこれからもこの一本杉は伸びなければならぬ。だからもし冥途から迎えにきたら、八十八を越してからいく。八十八を越してからまた使いがきたら、九十九までは留守と答えよう。留守なら帰りを待つというのなら、いっそいかぬと言い切ってやれ――。かつて若い“栄吉”をかり立てた並みはずれて大きい野心の炎は、いまでも七十九の老人の心に燃え続けているのである。