Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのはは
私の母
堺 利彦
Lesen Sie 私の母 (わたしのはは) von 堺 利彦 (さかいとしひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.425 Zeichen · 11 Bildschirme
母も煙草が好きで、よく長煙管でスパスパやっていたが、例の不器用なたちとして、その火皿に刻みを詰める時、指先でそれを丸めることが足りないので、長い刻みの尾が煙管の先にぶらさがっていることが毎度であった。ある時、父はそれを見るに堪えなかったのだろう、いかにも憎々しそうな、噛んで吐き出すような口調で、そのだらしなさを罵倒した。すると母もムッとして、それが自分の生れつきであること、五十年来の習慣であること、今さらそれを非難されても仕方のないことなどを、すねた言葉でブツブツと返答した。この争いに対しては、私は子供心にも、深く両方に同情した。
ある年の春、つつじの花の盛りの頃、裏の山の裾にござを敷いて、そこに夕めしのお膳を持ちだし、母の自慢のえんどうままで、父は例の一合を楽しみつつ、つつじ見の小宴を催したことがある。それらは父がアジをやるのであるか、それとも母の思いつきであったのか知らないが、とにかく私には嬉しい一家の親しみであった。また、父と母とは、ジャモクエの年寄り夫婦にも似ず――あるいは無邪気な年寄り夫婦らしくと言った方が却っていいかも知れぬが――ある時など、木箱に竹の棒を突きさして、それに紙を張り、糸をつけて、三味線のおもちゃを拵えて見たりしていた。