Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わたしのかつどうしゃしんぼうかんし

私の活動写真傍観史

伊丹 万作

Lesen Sie 私の活動写真傍観史 (わたしのかつどうしゃしんぼうかんし) von 伊丹 万作 (いたみまんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.073 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

伊藤はすぐに上京して私の間借りしていた三畳の部屋へやつてきた。

根津須賀町のその家は、よく建てこんだ狭い街にいくらでもあるような平凡な格子戸のある家であつたが、ただ変つた点は入口の格子戸の上に飛行機のプロペラの折れたのが打ちつけてあり、小さな札に日本飛行何とかという協会のような名まえが書いてあることであつた。

主人は五十を越した男で、だいぶ頭も薄くなつていたし、体躯も小がらのほうであつたが、それでいて変に悪党悪党した強そうなところのあるおやじであつた。

このおやじは家にいないほうが多く、たまに帰つてくると何もしないでたばこをすつたりひるねをしたりして日を送つた。

いつも猿股と腹巻をしてその上に何か尻までくらいある薄いものを引つかけていた。

話ぶりなどは何かひどく粗野で、そのために一種の滑稽感がありそれがときどき人を笑わせたが本人は決して笑顔を見せなかつた。

それが「何しろ家のかかあのやつときたら――」というような調子で本人を目の前において、その肉体の秘密を私たちにずばずばとしやべつてのけたりするものだから、彼の若い細君はもちろん、聞いているほうでも照れたりあつけに取られたりした。