Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
尊氏はさしずめ洛内の留守においた佐々木道誉らの兵が、それに応じて苦戦中かと察していたが、その道誉の軍はどこにも見えない。
「すでに近江へ帰ってしまったらしい」との沙汰がある。
ぜひなく、急使をやって、叡山へよびかけた。
近江三箇荘を与えようという好餌のもとに、協力を求めたのである。だが叡山はその前日、直義の墨付で、すでに近江三箇荘をもらっていた。当然、あいまいな態度でしかない。
しかし、尊氏の手兵は、二条三条の辺で、揚言どおり桃井勢を二日にわたって打ち懲らした。桃井勢は破れて、法勝寺から白河のおくへ逃げ退いた。――尊氏はその夜、ひとまず二条千手堂の吉良邸を陣営とし、そして、諸所の山野に分散して旗色を見ているらしい一族家臣の徒へ教書を触れまわした。
「このさい去就を過るな。おれはここに帰っているぞ。一たんはぜひなく直義についた者といえ、前非を知って戻って来るなら、おれはその非を追求しない。幕府は成りその功業を約して緒についたばかりではないか。みんな帰って来い! 尊氏を信じて元の列へ戻って来い!」
しかし、教書の反応はほとんどなかった。この論告はかえって尊氏の窮地をまざと響かせたものとみえ、逆に、直義の方へ奔る者が多かった。