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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme

Aozora Bunko

――いや、それらの叛骨と野望しかない武将どもに、拉致されて行ったとも見える急だった。

直義の脱走を、尊氏は石山寺の出先で聞いた。そのとき彼は多少の閑でも心にあったのか。短冊を手に何か書きかけていたが、立騒ぐ周囲を見て「すべては運命というもの。俄に何の用心やある」と、慌てた風もなかったという。すでに予期していたのかもしれなかった。

それで麾下の将士はおちついたが、ただ佐々木道誉と尊氏とがこの数日交わしていた懸合い事は何だったのか。むずかしいわだかまりにもみえ、なんの苦もなく解決されたことにも思われ、たれにもそれのみは分らなかった。だが元々、鵺の道誉の本性は尊氏がよく見抜いてい、尊氏の矛盾だらけな気の弱さや大ざっぱな特質も道誉にすればむかしからつきあい好い男として来たものである。あるいは両者の八百長かと、この交渉を感じとっていた者もないではない。

疑えばそうとも取れよう。尊氏は報を知ると、

「都はガラ空きか」

と、苦笑して、

「すぐ引き揚げずばなるまい。直義をかつぐ大名どもにも困ったものだ」

と、すぐ洛中へ帰ったのだった。直義がとはいわず、直義をかつぐ大名ども――と彼はいう。