Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
もとより彼は尊氏の恭順などにすこしでも本来の戦意を鈍らせているものではない。相手の偽装降伏は百も知ってのうえの戦略だった。つまり尊氏を東国に、義詮を京都に、それぞれ分断して同時に誅伐する両刃のはかりごとを考えていたのであった。
いわば尊氏と親房とは、どっちも腹を読み合って嘘と嘘との駈引を天下の機動に託しあっていたものであろう。品はちがうが、それは情痴の世界の男女が、女は男を、男は女を、あやに取って、しかも知りつつその間の嘘も小唄の絃にのせて、秘術と手くだの粋を極めている境地とも似るといえばいえもしようか。
だまされて
ゐるのが遊び
なかなかに
だますおまへの
手の巧さ
水鶏啼く夜の
酒の味
けだしそれは人生の夕明りみたいな近世花街の小戯。もちろん親房のは、もっと大時代な兵法の手くだである。虚空の軍鼓と地の波濤を、坐ながら呼ぶような彼の作戦構想は、例によってすこぶる大きい。
宗良親王はいま信濃にあり、新田義貞の遺子や脇屋義助の遺臣も、坂東の野に伏して、時節を待つこと、すでに久しいものがある。
一令、みちのくの兵も起ち、南下して、尊氏を関東の野につつむ。
留守の義詮は、畿内の兵で充分討てる。