Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
――母と私は住吉の具足師柳斎――いまここにいる右馬介の家を訪ねて行きました。――が、柳斎はいず、そこにおいでたのは、下絵描きの元成どのと、御内儀の卯木さまでした」
「そして」と、元成もいう。「もしあの翌晩の長屋騒動がなかったら、お互いの身の上や心の底などお話しあう御縁もなかったでしょうに」
「それも所は住吉の浜、四所のおやしろのある白砂の上でしたから、ひとしお胸に銘じるものがありました。世はいかにあろうとも、お互いはわき目もすまい。志す道につき進もう、そしてもし一道の芸能の士と成り得たら、何十年の後なりと、またお目にかかりましょうと……」
「ええ。そこには草心尼さまもおいでられて」と、卯木は言いふるえて「――私たち夫婦をお身に比べて励ましてくださいました。そして夜すがら四人で松落葉の火を囲み、語り明かしたその朝、浪華の河口で舟と陸とにお別れしたきり……」
「いらい母も私もさんざん修羅の巷をさまよいました。けれどおふたりを思うと私は精進せずにいられません。いつかはお目にかかる日が来よう。そのときに、消え入るような自分であってはならないと」
「ああ、今日は思いが果たされました。