Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
が、それにしてもなお、数十年の大乱をただよそにしているしかなかった無明世界の盲者たちには、どんなふうに、その目あきの世界が映っていたか、考えられていたか、明暗を逆にした彼らの社会観として見るぶんにはなかなか捨てがたいものといっていいように思われる。
で、ここに当夜の模様などを描写するよりは、むしろ「無言録」の語録そのままで見る方が有効におもわれるので、その一端を次に抜抄しておくことにする。文中ではもちろん、問者は誰々、答えたのは誰と、いちいち明記はないが、質問者は大床に居ながれた当夜の盲人三、四十人(例外として目あきの質問も出たかもしれぬ)と見てまちがいなく、答える方は覚一検校ひとりであったにちがいない。
問「まず、序問の僭越をおゆるし下さい。何事も腹蔵なく問え腹蔵なく答えん、との仰せですが」
答「そのとおりです」
問「けれどそれが過ぎて、御生前の批判やら世上の悪声などに及んだら、先将軍(尊氏)の霊にたいし奉って、失礼にはあたりませぬか」
答「あたりません」
問「でも主旨の御供養にはなりますまいが」
答「いや、何よりの大供養なりと信じます。棺を蔽って定まるとか。