Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
問「不しつけに申すなれば、先将軍というお方は、何せい、われらどもには解らぬことだらけですが」
答「げに、矛盾にみちたお方でした。情にもろく、情のお人かと思えば人以上に冷たい。藤夜叉という女性へも、直冬どのにも、あの冷たさは異常です。そして閨房とて、ほかに入れた女性もありません。すべてを大望にかけて御自分をころし切ッていたものでありましょうが」
問「でも、その大望も、御自身ついに滅失されたのでは」
答「いや、さいごには、その滅失を取り戻そうとなされた焦躁が、直義さまを、あんな思いきッた御処置になされた、第一の御理由であったように思われまする」
問「検校。てまえにも一つ借問させていただきます。――夢窓国師は、尊氏公の長所三ツを賞めて、一は生死に超脱している、二には慈悲心ふかく人の非もよく宥す、三には無欲恬淡で物に慳貪の風がない――と。その通りでございましょうか」
答「御長所ならば、もっとありましょう。尊氏さまの周りには、つねに大どかな和がありました。ほがらかで茫洋で、小さい事にはこだわらず、お気楽で威張ったところが少しもない」
問「ではずいぶん人好きのするお人柄としか思えませぬが」