Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
御父のみかどはともかく、母情として、廉子の胸などはどんなものであったろう。凡下の親には想像もなし能わないことだった。
義良親王と一行の随員たちは、やがて伊勢ノ大湊に集まり、用意されていた大船五十二そうの上に乗り別れた。
吉野山から伊勢の港へ出るには、山間二十八里、急いでも三日がかりの難路でその困難はたいへんだった。しかし全国との脈絡を取る海路として、西の泉州堺は、足利方におさえられていたので、吉野経営には、この伊勢ノ大湊ただ一つが、無二の生命線だった。
さきに北畠親房が、はやくから伊勢地方の確保に努めていたのはそんな理由からでもあった。そして、ここには大きな造船能力まで持って、吉野と鎮西諸国、また奥州や東国との中継所の形をなしていたのである。
ところが。
この一行五十二艘の大船は、はじめはつつがない海路にみえたが、やがて遠州灘にさしかかったとき、大きな暴風に出会ってしまった。「正統記」に九月十日頃とあるから、いまでいう颱風であったのだろう。
一瞬のまに覆没してしまったのやら、また助かった船にしても、みな大破してちりぢりにどこかへ吹き流されていた。